5G NR

5G NR (New Radio) とは

5G NR（ファイブジーエヌアール）は、第5世代移動通信システム（5G）のために3GPPによって規格化された新しい無線アクセス技術です。これは、5Gネットワークにおける無線接続の世界標準となることが期待されています。

技術的背景

5G NRの技術的な詳細は、3GPPの仕様シリーズ38に規定されています。3GPP内での研究は2015年に始まり、2017年末には最初の仕様リリースが公開されました。業界では、2019年頃に5G NRの商用サービスが開始されることを見越して、早期からインフラ構築の準備が進められていました。

周波数帯

5G NRでは、以下の2つの周波数範囲が使用されます。

FR1 (Frequency Range 1): 450 MHz - 6 GHz帯域
FR2 (Frequency Range 2): 24.250 GHz - 52.600 GHz帯域

FR1は従来の携帯電話で使用されていた周波数帯に近く、広いエリアをカバーするのに適しています。一方、FR2はミリ波帯と呼ばれ、より高速・大容量の通信を実現できます。

各国の状況

商用5G NRネットワークを最初に開始したのは、カタールのOoredooで、2018年5月にサービスを開始しました。その後、世界中の多くの通信事業者が5G NRネットワークを導入しています。

開発状況

3GPPは2018年にリリース15を公開し、これが5G NR規格の「フェーズ1」と位置づけられました。続いて、2019年末には「フェーズ2」を含むリリース16が発行される予定です。

展開方式

5G NRの展開方式には、主に以下の2種類があります。

NSA (Non-Standalone) モード: 既存のLTEネットワークに依存する方式。制御信号はLTEネットワークを使用し、データ信号のみ5G NRを利用します。早期の5G導入を可能にする一方で、完全な5Gの機能を利用できないという批判もあります。
SA (Standalone) モード: 5G NRのみで構成される方式。制御信号とデータ信号の両方を5G基地局で処理します。4G LTEのコアネットワークに依存せず、真の5Gネットワークを構築できます。低コスト、高効率、新しいユースケースの開発が期待されます。

初期段階ではNSAモードが主流になると予想されていますが、将来的にはSAモードに移行していくと考えられています。

5Gコアネットワーク

5G NRのSAモードでは、新しい5Gコアネットワークが使用されます。これにより、LTEネットワークの制約を受けない、より柔軟で効率的なネットワーク構築が可能になります。

サブキャリア間隔

5G NRは、複数のサブキャリア間隔をサポートしており、これにより様々なユースケースに対応できます。

15 kHz: LTEと同様の間隔で、1ミリ秒のスロット期間に対応。主にFR1で使用。
30 kHz: 0.5ミリ秒のスロット期間。主にFR2で使用。
60 kHz: 0.25ミリ秒のスロット期間。FR1とFR2の両方で使用可能。
120 kHz: 0.125ミリ秒のスロット期間。データパスの最大間隔。
240 kHz: 0.0625ミリ秒のスロット期間。同期信号ブロック(SSB)を使用した検索・測定にのみ使用。

サブキャリア間隔とCP（Cyclic Prefix）の長さは反比例の関係にあり、サブキャリア間隔が広いほどCP長は短くなります。例えば、15kHzでは4.7マイクロ秒、240kHzでは0.29マイクロ秒となります。

まとめ

5G NRは、高速・大容量通信を実現する次世代の無線通信技術です。様々な周波数帯や展開方式、サブキャリア間隔をサポートしており、多様なニーズに対応できます。今後、5G NRは私たちの生活やビジネスに不可欠なインフラとなるでしょう。

関連項目

5G NRネットワーク一覧

もう一度検索